句集 あかときの夢

句集 あかときの夢

新書判ソフトカバー装
発行日:2023/2/20
本文126頁
装幀=高林昭太
定価:1800円+税
ISBN978-4-88032-477-7

柴田獨鬼著

柴田獨鬼(しばた・どっき)プロフィール

本名・柴田稔。現代俳句協会会員。1953年、秋田県生まれ。
1968年、現代詩の若い人社文学会(仲村八鬼主宰)に入会、詩誌「若い人(のち 「新      詩壇」に改題)に詩作品を発表。
1972年、詩人・貞松瑩子を中心とする、小田原の現代詩グループ「あの会」に参加。
1976年、第1詩集『原風景』(VAN書房刊)刊行。
2009年、詩集成の『わが埋葬のために』(私家版)刊行。
2014年、現代俳句協会ネット句会、俳句総合誌等に投句を開始。俳句同人誌「らん」(発行人・鳴戸奈菜)を購読、投句を始める。
2015年、現代俳句協会入会。
2016年、大牧広主宰「港」入会、18年同人。
2019年、「らん」同人。「港」終刊。
2023年1月、「らん」100号にて終刊。

オビ(表)齋藤愼爾評

荒びゆく心こころに蝶の翅
 (→掲句の評はトップページに掲載)

子宮ごと逝きし母へと蟬の声
生命力の象徴でもある女性器を大胆直截に表現したのは、それほどにも作者の母への哀傷は苛烈なのだろう。むろん蟬は抜け殻となった空蟬・虚蟬。「うつせみ」の原義は「現し身・現世・人の世」、読者は声なき悲調を聞かねばならない。

オビ(裏)齋藤愼爾選12句

あかときの夢偸まるる牡丹かな
愛日や生きて甘露の日和欲し
ぽつねんと空席のある余寒かな
消え残る熾火の夢や寒の暁
冬の月にんげんといふ病得て
啓蟄の異界結界覗き見る
屈原の杖残りたる端午かな
啓蟄や魑魅魍魎の呱呱静か
人類のあとに来るもの旱星
我向けし誰何の応へ蚯蚓の死
初しぐれ眉細きひと背を見せて
短夜や幸と不幸のはざまにて

あとがき

 大学の恩師、小村哲雄先生は詩誌「竜舌蘭」のかつての同人で、詩集『海道』を有する詩人でもありました。十代より詩を書いていた私は、小村先生の研究室で自作の詩を見てもらったり、詩を語り合ったりしておりました。授業で西東三鬼を教えられ、あるとき「君も俳句もやってみたら」と勧められたことがあります。そのとき「やるとすれば俳句よりも短歌の方ですね」と答えましたが、冗漫な私の詩に対して「もっと簡潔な詩を」という先生の助言だったのでしょう。
 太宰治の友人で『人間太宰治』の著者である山岸外史の死に際し、試みに「桜桃忌近づくままに外史逝き」という句を作ったことがあります。初めての俳句ということで、先生も少しは評価してくれたようですが、その他の句の駄作ぶりに呆れたのか、それ以後、俳句について先生が口にされることはありませんでした。
 社会人となってからの創作活動中断期には、齋藤愼爾氏編集の朝日文庫版『現代俳句の世界』全十六巻をもっぱら俳句案内書として愛読しておりました。
 その私を現代俳句の世界へ引き入れたのは、やはり齋藤愼爾氏の句集『永遠と一日』です。「旅芸人の記録」のテオ・アンゲロプロス監督の映画と同じ書名で、かつ「俳句で小説を書く詩人」という野村喜和夫氏の帯文に惹かれて購入した句集でした。野村氏の言葉どおりの多くの句に啓発され、以来、氏のすべての句集を座右の書とし、私の俳句の拠り所として勝手に私淑しております。
(以下略)

ページのTOPへ